患者との距離感について

良い看護師という言葉がありますが、その定義は曖昧です。人によって、解釈は異なるでしょう。患者の立場に立って考えることが出来る人というのが模範解答かもしれませんが、果たして本当にそうでしょうか。そもそも、相手の立場になって考えるというのは、社会人なら当然のことだといえます。医療従事者だけに求められることではないはずです。本来、看護師に求められるのは職業人としての高い倫理意識と、プロの技術や能力だといえます。難度の高い外科手術を行う際、外科医に求められるのは手術を成功させ、患者のQOLを高いレベルに維持することでしょう。そして、看護師に求められるのは、必要な処置を手順通り正確に行うことです。これが、まず何よりも優先されるべきだと思います。その上で、優しい態度や明るい声掛け、笑顔の対応ということになるはずです。しかし、この順序を逆転させてしまう人がいます。その原因は、多くが患者側にあるといえるようです。仮に無愛想な看護師でも、患者の容体を正確に把握して的確な処置を行い、患者の生命を守ることが出来るのが良い看護師だと評価しなければなりません。いくら笑顔で明るく気さくな看護師でも、満足に採血や点滴の針がさせないような看護師は評価できないでしょう。とはいうものの、患者は病気やけがで心が弱っています。弱っている人間は、とても敏感になっているものです。そんな時、冷たい対応や高飛車な言葉を投げかけられると、本当につらい思いをしてしまいます。良い看護師は、それをきちんと理解しています。それは表面的なことではなく、プロの医療従事者として正しく認識すべき基本項目の一つだからではないでしょうか。